非常時局読本 海軍少将 真崎勝次著
慶文社 昭和14年3月15日発行
123ページより
これを要するに今まで縷々(るる)申し述べたが、結局は今次事変の原因は日本人が日本精神を失ったところにあるから、これが解決を図るためには、どうしても日本人が日本精神に還らなければならないのである。即ち日本精神の根源である大義名分に依って事の正邪曲直を明らかにし、以て聖戦の意義を知り、その解決を完全に図らなければならないのである。今後長期戦になればなるほどこれが一番大事な事となって来る。私は現下の我が国に取って最も憂うべきものは、実は外敵よりも、国内の思想問題であると考えている。依って日本人の全部が真に日本精神に還り、ここを基調として天皇中心に打って一丸となっておれば、決して恐れるところはない。恰もそれは黎明の明け行くが如く自然に国運の進展を見るに至るであろう。しかしてこの宇宙の真理たる日本精神に依ってのみ、真の世界平和を招来することもできるのであると確信するものである。
この他非戦主義と敗戦主義との区別や、その他未だ申し述べたいことはいくらもあるが、以上に依って大体日本国体の本質と思想問題の正邪曲直を明らかにすることができたと考えるから、今回はこれで擱筆(かくひつ)する。
時局読本(終)
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