陸軍の統制派軍人は自由主義、市場経済が大嫌いです。日本をソ連のような統制経済の国にしようとしていました。また、人情、物質文明、資本家も大嫌いです。
日本を全体主義の国にして、思想も統制していく。それが狙いでした。
そのために天皇陛下ですら利用します。「天皇のために統制経済、全体主義の国を作ろう!」と。
その証拠が以下の史料です。しかし、共産主義どころか国家社会主義の名前はかけらも入っていません。彼らの怖いところは全く証拠を残さずに日本を国家社会主義(共産主義とほとんど同じ)の国にしようとしていたのです。
ぜひお読みください。
追手門大学の山中永之祐教授が古本屋でみつけたという陸軍省の秘密資料。
追手門経営論集 第2巻一号
269—370ページ
一九三六年の陸軍省「国政刷新要綱案」と「国政刷新要綱案別冊」
下線は私が引きました。
国政刷新要綱案(昭和11年6月)
一部抜粋です。
綱領
本要綱案策定に当たり採りたる根本方針、左の如し
1 国体の精華に基づき、一君万民、挙国一体各々その所を得て、以て皇謨を翼賛し、天業の恢弘(かいこう)を期す。
2 国運の進展に即応する綜合国力の増進を目的とし、広義国防の完璧を期す
3 功利主義、個人主義、自由主義の弊害を是正一洗し、道義立国の大精神に則り、国家公共のため、犠牲心の発揮を基調とす
而して、更始一新の実現を為すに方りては、因縁情実を拝し、且つ社会に大なる不安動揺を与うることなく、緩急序を履むものとす
第一、政治及び行政
(2)1、政治思想の是正
憲法の真義と立法行政両機関の特質とを明徴にし、以て政党政治を以て憲法の常道なりとする思想を打破し、政権争奪に専念することなからしめ、且つ挙国一致強権政治の実現を図る、之がため、あらゆる機関と機会とを通し、国体に即する政治教育を実施す
第二、財政及び経済
其の三、産業及び貿易
(1)方針
産業及び貿易に対する政策を刷新強化して、軍備及び国防諸施設の整備充実、国家総動員的見地に基づく所要資源の確保並びに所要生産力の拡充、過剰資源並び生産力の消化、国民経済力の発展を策すると共に、国民生活の安定に資す
第三、社会
其の一、農村対策
(2)要項
1 農村の自力更生
1 我が国の教育が、徒に智育に偏重し、農民をして物質文明に陶酔せしめたるは、現下の窮状を招来せる一原因とす、之がため、教育の一大刷新を行い、愛農精神の涵養に努力するの外、農事智識及び加工その他の技術的智識を向上して、農業経営の能率を増進せしむ
其の二、中小工業対策
(1)方針
中小工業が、我が国人口問題、社会問題及び輸出貿易上等において重要なる地位を占むるものになるに拘らず、同業者間における激甚なる競争及び金融難などの結果、大工業ないし金融資本家より圧迫せられ、著しく困窮しある実情に鑑み、これが救済並びに発展のため、各種の国家的、地方公共団体的の施設を講し、農村振興と相まって国民の慶福増進並びに国運の発展を図る
第四、思想及び教育
(2)要綱
1 思想対策
国民思想の善導、思想国防の完璧を期するため、これらの業務を主宰すべき国家機関を設け、左の作業を実施せしむ
2思想の強化
思想の強化善導は、精神国防の主部を占むるものにして、左記三点を主眼とす
イ 与論の統一指導
ロ 国民の強化善導
ハ 教育行政に関する事項
国政刷新要綱案別冊(昭和11年5月)
第八、電力国策試案
(1)方針
電力は、国民生活の必需たると共に国家産業動力の基本たるの事実に鑑み、其の供給低廉かつ豊富ならしむる目的を以て、機を見てこれを国家の管理に移す
第十、思想委員会議決
思想対策は、大別して、これを三となしうべし
一は、国民中動もすれば不穏思想に惑わされんとする者あるに鑑み、日本精神を闡明し、これをあらゆる社会層に普及徹底せしめ、以て国」民精神の作興に努むる思想善導方策なり
二は、不穏思想に関する人的、物的取り締まりを厳にして、不穏思想に対する防衛及び鎮圧を完くすべき思想取り締まり方策なり
三は、政治行政経済方面における不穏思想醸成に与えて力あるべき諸原因に対応して、これに匡救を加うべき社会改善方策なり
一見官僚のよい作文のように見えます。
共産主義の「共」の字も入っていませんが、共産主義の思想がちりばめられ、国を共産主義国家に少しずつ近づけ、思想統制までやろうとしていたことがわかります。
共産主義者は、当初暴力的革命(例えば二二六事件)を目指していましたが、それは無理と気づき、「気がついたら共産主義国家になっていた」作戦に切り替えました(陸軍統制派や左翼、偽装右翼の官僚など)。
未だにこの事実は隠蔽されています。
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